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アバンレポートAVANT Report

2016.10.28

AVANT report Vol.020

官民連携による都市再生・地方創生の鍵 ~ エリアマネジメント

 都市再生や団地再生、災害復興など様々なまちづくりの現場において、ますます重要視されているエリアマネジメント。これからのまちづくりに関わる重要な要素であるエリアマネジメントの分野における、最近のアバアソシエイツ(以下、アバン)の多様な活動を紹介する。

はじめに

 エリアマネジメントは「地域の課題を解決し、地域の魅力を伸ばすために、民間が主体となってにぎわい創出、安心安全、まちなみ景観・美化推進、情報発信、イベントPRなどの活動を行い、地域価値を向上すること」と定義される。我が国の都市づくりでは、20世紀の成長型、ハード整備中心の官主導による都市整備や開発から、今世紀は成熟型、ソフト整備を中心とした民主導の管理運営(マネジメント)によるまちづくりの重要性が増してきている。現在、国土交通省の制度政策上においてもエリアマネジメントはまちづくりの重要方策として位置づけられている。また、アバンも関与している東京都による「都市再生ステップアップ・プロジェクト(竹芝地区)」のように、公有地の官民連携の開発においてはエリアマネジメントが必須条件になってきている。

 アバンは、秋葉原(アキバテクノクラブ)や渋谷(shibuya1000)での先行的な実践に始まり、富山県高岡市、神奈川県海老名市、栃木県那須塩原市をはじめとして、全国各地でのエリアマネジメント機能導入検討を行い、現在、竹芝でも実績を着実に積み上げつつある。

 他方、エリアマネジメント調査研究等、関連する様々な活動に関与している。例えば、この分野で中心的な立場にある小林重敬横浜国立大学名誉教授を座長とした「都市づくり制度研究委員会」(後述)の事務局支援を行ない、関連制度研究の中心的な場に関与している。また、同氏が会長を務める「全国エリアマネジメントネットワーク(2016年7月設立)」へ参加し、関連する分野の有識者、専門家、実務者、行政など、この領域における人的ネットワークづくりに積極的に関与している。アバンの当分野の実績は、同業他社ではおそらく例はなく、鹿島グループにとって強みと考えられるので、以下に事例を紹介する。

 

エリアマネジメントの実践

《アキバテクノクラブ事務局企画運営(秋葉原、2004年~)》ar020_a
 秋葉原駅前の都有地・神田青果市場跡地を中心に2005年に誕生した大規模複合再開発「秋葉原クロスフィールド」(図1)は秋葉原タウンマネジメント株式会社による公益的まちづくり事業に関わる他、産学連携拠点(アキバテクノクラブ)を創設・運営している。アバンは産学連携機能促進のため、秋葉原ダイビル内の産学交流ゾーンを拠点として、入居テナントと地域とのコミュニティ育成支援及び新産業育成の契機となる場の運営を行っている。

 

 

 

《shibuya1000企画運営(渋谷、2007年~)》ar020_b
 100年に一度と言われる大改造が進む渋谷駅中心地区。渋谷の魅力を発信する活動「shibuya1000」(図2)は、渋谷駅構内などでのアート展示やシンポジウム等を行っており、アバンはその企画運営を担っている。運営には内藤廣氏(建築家/東京大学名誉教授)、岸井隆幸氏(日本大学教授)をはじめ、地元企業、クリエイター、行政など、多様な主体が関わり渋谷のまちづくりのプラットフォームとして徐々に育ってきている。

 

 

《都市再生ステップアップ・プロジェクト(竹芝地区、2013年~)》ar020_c
 計画地はJR浜松町駅からほど近い、東京都計量検定所、産業貿易センター、公文書館の3つからなる約1.5haの敷地である。東京都のガイドラインで規定される竹芝地区はこの敷地を含む約28haの範囲となる。事業の特徴は、「約70年間の一般定期借地権設定」、本地区内における「事業期間中のエリアマネジメント業務実施」である。2015年度中に着工し、来る東京オリンピック・パラりんピック前の2020年度前半での本施設竣工を予定している。(図3)

 本地区のエリアマネジメントの3つの要素を示す。第1は港、劇場や庭園、ホテル、ホールなどの「地域資源」。第2は竹芝地区開発計画で、新たな付加価値創造を図る「新たな仕掛け装置」。 第3はまちづくりにとって最も重要な要素「人」である。この3つを結び付ける諸活動を通じ,相互の関係性を高め,地域価値向上を図る仕組みが、本地区のエリアマネジメントと考えている。

 図4はまちづくり協議会の組織図である。協議会は協議・検討、事業運営組織は実践の主体とすることで、両輪体制による事業 推進を図っている。東京都との基本協定締結後に発足したエリアマネジメント準備室の一員としてアバンは、「地元組織の設立と運営」の目的のために、「場」と「機会」を設けることを使命と認識し活動している。取り組みのテーマとしてはにぎわい・交流創出、環境エネルギー、防災・減災、公共空間維持管理、まちなみ景観などの様々な可能性を検討し、取り組みを開始している。

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エリアマネジメントの未来へ向けて

 エリアマネジメントの今後の展開に向けて、アバンは以下の様な活動に関与している。

1.国土交通省「都市空間の魅力増進に係る効果的な横展開手法の調査・検討業務」(2016年度)
 都市再生推進法人等会議の運営支援、エリアマネジメント・リノベーションによるエリア再生の先進的事例の調査分析、情報発信や人材発掘・登用の動向、人材育成方策の検討・提案を行う予定である。

2.一般財団法人 森記念財団「都市づくり制度研究委員会事務局支援」(2015年~)
 我が国におけるエリアマネジメント推進のための環境を整えることを目標とした委員会。国内外先進事例から法制度に至るまで、幅広く研究を行い、有識者や専門家による議論の場を運営している。

3.新虎通りエリアまちづくり協議会「新虎通りエリアビジョン策定支援」(2015年度)
 新虎通り(環状二号線)エリアのまちづくりビジョン策定に関するワークショップの企画運営の支援、及び地域のステークホルダーの合意形成を行い、最終的にエリアビジョン(案)の策定に至った。

4.「全国エリアマネジメントネットワーク」への参加(2016年~)
 全国の先進的なエリアマネジメント組織(官民の約100団体)の交流と情報交換の場に対し、竹芝地区エリアマネジメント準備室が正会員として参加しているのに加え、賛助会員としても参加している。

 今後は、地域の観光まちづくりの舵取り役となる日本版DMO※などを含め、官民連携のあらゆる業務に おいて、エリアマネジメントの役割が益々不可欠になると予想されている。アバンは関連分野の調査研究、現場実践の両輪により、最新の知見とノウハウを蓄積・活用してこの分野への関与を益々強め、関連プロジェクトの創出と遂行を推し進めていきたいと考えている。

 (松下 幸司)

 

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