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アバンレポートAVANT Report

2017.10.30

原発被災帰還者の生活を創造する

 東日本大震災の各被災地では復興の集中期間を終え、復興を続けながら、ようやく新たな生活がスタートしている。一方、福島第一原発の周辺においては、まだ復興が始まったばかりで、帰還する被災者の人々にとってはこれからである。本特集では、アバンアソシエイツが鹿島グループと連携して関わっている福島県双葉郡内での活動を紹介するとともに、政府が描く将来構想なども絡め、これからの関わり方について報告する。

福島県双葉郡では今なお多くの人が不自由な生活を余儀なくされている

AR023_1 平成23年3月11日14時46分、我が国史上最大規模の自然災害と言える東日本大震災が発生。地震、津波、その後に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質による汚染被害が広がった。あれから6年7ヶ月、約1,150平方キロに及んだ避難指示区域の面積は、本年(平成29年)春の浪江町・富岡町の一部避難指示解除により、約370平方キロと約1/3となったが、今なお多くの人々が不自由な避難生活を余儀なくされている。

 本年春に避難指示が一部解除された浪江町は、双葉郡で人口が最多、富岡町は2番目の人口規模を誇る。今後、郡内全域の復興に弾みがつき、地域再生に向けた取り組みが進み、残された帰還困難区域の解除に向け、復興再生拠点の整備の本格始動が期待されるところである。

 

 

 

東日本大震災からの復興なくして日本の再生はない

 平成32年(2020年)東京オリンピック・パラリンピックを「復興五輪」として世界に発信したい政府は、平成28年度から平成32年度の5年間を「復興・創生期間」と位置づけ、被災地の自立と地方創生のモデルとなるような復興の実現を目指している。

 被災地は、震災以前から人口減少や産業空洞化といった、全国の地域にも共通する中長期的な課題を顕著に抱えていたが、今後の復興・創生に当たって、「まちに人が戻る」ことを目指すのみならず、被災地外からも多くの方々が訪問し、あるいは移り住むような、魅力あふれる地域を創造することが求められている。福島の復興・再生は中長期的対応が必要であり、「復興・創生期間」後も継続して、国が前面に立って取り組むことが宣言されている。

鹿島グループの総力を上げて復興に取り組む

 アバンアソシエイツは、東日本大震災が発生した3ヶ月後の平成23年6月に鹿島開発事業本部、土木営業本部、東北支店等により立ち上がった「復興まちづくり情報交換会」の事務局を務め、被災地における復興事業に関する情報収集と鹿島グループ関係部署間の情報交換を進めてきた。

 この情報交換会は、本年春までの6年間、精力的に進められてきたが、その対象範囲は、北は宮古、大槌、松島、仙台、名取、双葉郡浜通り、南はいわきまでの広範囲に及んでいる。

 こうしたグループ内の情報連携を通じてアバンが中心となり、復興庁の取り組んでいる「新しい東北」等に対し、まちづくり構想の提案活動を展開してきた。原発被災を受けた双葉郡内においては、鹿島東北支店が大熊町新庁舎の建設や復興拠点となる大川原地区の基盤整備工事等を受注するなど、町民が帰還するための本格的な復興に向けて、鹿島グループの総力を上げた取り組みが進められている。

 鹿島東北支店が施工する大熊町新庁舎は、街の復興拠点となる 大川原地区の最初の公共建築物であり、町内に戻ってくる町民はもとより、福島県内外に避難中の 町民への様々なサービスや支援を行う拠点であるとともに、大熊町の復興のシンボルとなる。AR023_b

町民が安心安全に生活するための防災体制づくり

AR023_c アバンアソシエイツは、平成28年度調査として浪江町より「浪江町における防災事業のあり方及び官民連携手法の導入可能性に係る調査業務委託※2」を受託している。

 平成29年3月31日、浪江町の一部地域(帰還困難区域を除く、浪江町役場を中心とする旧市街地等)の避難指示が解除され、町民の帰町が開始されたが、町民が安全安心に生活するために新たな防災体制の再構築が重要な課題となっていた。

 本調査では、浪江町の防災拠点である町役場に加えて、交流拠点である「道の駅」や「災害公営住宅」等に防災サポート拠点としての機能を追加し、公共性の高い防災機能を民間事業者へ一部移管する新しい事業手法である防災PPP/PFI事業の導入について検討することが求められた。

 これに対し弊社は、「道の駅」が防災機能の一部を 担うことで帰町が始まった浪江の「まちの復興・創生拠点」となり、当面の町民の生活を支えつつ、地域経済のスターターとしての役割も担うことを提案した。

 「道の駅」を運営する「まちづくり会社」が、将来的には、公共施設管理、生活支援サービス、地域エネルギーマネジメント、地域産業育成などの多角的なエリアマネジメント事業を展開し、浪江町の発展のエンジンとして持続可能なまちづくりに向けた取り組みを展開する提案としている。

今後も被災地の一日も早い復興を目指して取り組みたい

 浪江町の平成29年9月末の居住人口は267世帯381人。震災前は2万人近くの住民が生活していたのでわずか2%弱に留まっている。町民が安全安心に暮らすために、またより多くの人が戻りたいと思うためには、安全な防災事業のあり方の検討以外にも、防犯体制(鳥獣対策を含む)の整備、緊急医療体制の確立等を進めるだけでなく、生鮮食品等を扱う店の整備や高齢者の介護体制の確立等も必要となる。

 一方、被災地のまちづくりは、最新の知見を導入した新しいまちづくりを提案できる稀なケースでもある。再生可能エネルギーも含めたエネルギー全体の需要・供給体制を構築したスマートコミュニティづくりや新たな交通システムの導入、災害に強いまちづくりの展開など、そこに暮らす人、家庭、働く人、事業者がより豊かで快適に生活するための様々な提案が可能となる。

 今回、取り上げた大熊町・浪江町のみに留まらず、福島県の復興のために弊社として出来ることに今後とも積極的に取り組んでいきたい。

(望月 勇一郎)

※1 「鹿島建設・永山建築設計特定建設工事共同企業体 技術提案書より」
※2「防災事業のあり方及び官民連携手法の導入可能性に係る調査」平成28年度震災復興官民連携支援事業(国土交通省)
(http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanminrenkei/sosei_kanminrenkei_tk1_000016.html)

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