1. トップ
  2. 新着情報
  3. アバンフォーラム

アバンフォーラムAVANT Forum

2018.02.01

この国の社会システムはどう変わるべきか ~ アバンフォーラム報告

 注目分野で活躍する講師をお迎えし、毎月開催しているアバンフォーラム。本特集では2017年10月にアキバテクノクラブ※1によるオープンセミナーとの共催で行なった、経済産業省若手官僚と法政大学小黒一正教授によるパネルトークの模様を報告する。これまでの制度の微調整では対応しきれない、人口動態の変化という避けられない現実を前にして我々はどう対していけるのかという課題に対し、下記で紹介する経済産業省におけるレポートを基に議論を深め、参加者による課題の共有が行われた。

 

不安な個人、立ちすくむ国家 ~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~

 AR024_aこのタイトルのレポート※2は、2016年8月に発足した、菅原郁郎事務次官(当時)と20~30代の若手有志30名による「経済産業省次官・若手プロジェクト」の提言としてまとめられ、2017年5月18日産業構造審議会総会で報告、半年余りに150万以上もダウンロードされ、新聞TVなど各メディアにおいても反響を呼んでいる。また11月には書籍(文藝春秋)、12月にはマンガ版(双葉社)も発刊され、ネットに馴染みない、より広範な世代への発信もされている。

 今回、このプロジェクトのコアメンバーとして参加された藤岡雅美氏と今村啓太氏の両氏にご登壇いただいき、モデレータとして、これからの経済財政について鋭い視点で発信を続ける小黒一正教授を招聘し、右肩下がりの高齢化社会に対してどの様な構造転換を図っていくべきか、その現状と課題、そして展望について参加者を交えた活発な議論を行った。

 

個人が安心して挑戦できる社会の仕組みとは

AR024_a はじめに、今村氏によるレポートの解説が行なわれた。時代と共に変化する社会状況に応じて、様々な個人の不安が増しているということを指摘しながら、変わりつつある価値観に基づいて、個人が安心して挑戦が出来る新たな社会システムを目指すことが重要であるとの考えが示された。

 さらに、高齢者の自由が定年という制度に制約を受けている実情、高齢者以外の弱者へのセーフティネットの弱さや、母子家庭などに おける構造的な貧困、教育の格差による貧困の連鎖、活躍の場が無い若者など、日本社会の抱える現状や課題について、図表やデータを示しながら解説され、もっと個人が多様な人生を自由に選択できる社会への構造転換に向け、以下の3点が提言の骨子として挙げられた。

1.一律に年齢で「高齢者=弱者」とみなす社会保障をやめ、働ける限り貢献する社会へ

2.子どもや教育への投資を財政における最優先課題に

3.「公」の課題を全て官が担うのではなく、意欲と能力ある個人が担い手に

AR024_b あらゆる世代の個人が、それぞれのやり方で活躍できる社会を創造し、その中で「高齢者を何人で支えるか」を、逆に「子供を何人で支えられるか」ととらえ直すことが出来れば、高齢化社会の弱みをも強みに変えられるという発想の転換が見出せそうである。

 

 

 

 

 

 

秩序ある自由の獲得と政治の役割

AR024_c つづいて藤岡氏より、個人の選択の自由が増すにつれ個人の決断やリスクテイクに依存する部分が増大する「液状化する社会」で、国家と企業、国家と個人との関係を再考し、個人が安心して思い切った選択ができる「秩序ある自由」をどのように獲得してゆけるかといったテーマを中心とした話題が提供された。

 また小黒教授からは、日本社会の行き詰まり感を浮き彫りにするべく、国民の稼ぐ力の鈍化や財政逼迫の深刻度等がデータと共に 示され、低所得者等、本当に生活に困っている人を再配分の主な ターゲットとするべきという、政治の役割に係る意見も示された。

 

 

 

 

この国の社会システムはどう変わるべきか

AR024_d 後半のパネルトークでは、小黒教授をモデレータに、鋭い切り口での議論が交わされた。その主なやりとりを以下に紹介する。

 社会保障システムは既に行き詰まっていると思われるが、現在のシステムの微修正で超高齢化社会を乗り切ることは可能か、という 問いに、今の制度では難しいという危機感が共有された。

 政治の役割が「正の分配」から「負の分配」に変わる中、政治が機能するには何が必要か、全国一律の統治か、地方分権か、という問いには、都市部集中型は効率的だが、テクノロジーの進展により地方活用のあり方が変わる可能性もあり、集中と分権のハイブリッドにより、地方の多様性も活かすことが重要という意見が示された。

 人生100年時代を前に個人に求められる心構えは何か、という問いには、年金頼みではなくスキルを磨き続けて自分らしい活躍の場を見つけるべきという意見や、収入保障だけでなく支出保障が成される ことで生活設計がし易くなるという意見が示された。

 最後に、日本が目指すべき国家の哲学とは何か、という問いには、多様な発言を許容する社会、課題解決に向けた議論を諦めない社会、チャレンジして前向きな人が報われる社会といった方向性が示された。

 このレポートへの反響も踏まえ8月の産業構造審議会にて、本プロジェクトは今後も様々な団体等と意見交換を行うなど議論を深め広げていく方針としており、政策の深堀りとしても、①教育・人材投資、 ②高齢者の活躍/ソーシャルベンチャー、③経済と社会保障について具体的な検討を進めている。

 また、この次官・若手プロジェクトの報告は大いに注目され、その後、国土交通省※3や総務省※4等でも  中堅・若手職員による政策立案プロジェクトが発表されており、これらの動向も注目される。

 

様々な社会課題の解決に向けたアバンアソシエイツの取り組み

 アバンアソシエイツでは、紹介したアバンフォーラムの他、各分野の有識者との自主研究会の運営や、アキバテクノクラブでの産学連携組織の運営、または各業界の協議会等への参加などを通して最先端情報の発信・収集に努め、様々な社会課題の解決に向けた活動に取り組んでいる。

 今後、生産性革命やAIの躍進により仕事の種類や仕方が劇的に変化していく中で、我々が社会でどんな役割を果たせるのか、広範な視野と興味を持って取り組んでいくことが肝要と考えている。

 

AR024_f

Totop