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アバンレポートAVANT Report

2019.02.15

2020年以降の都市再生~高付加価値を求める都市づくりの時代へ

 少子高齢化や人口減少などの様々な問題を抱えながら、グローバルな都市間競争を勝ち抜くためには、東京をいかにして魅力のある都市として生まれ変わらせていくかが大きなテーマである。2020年の東京五輪を一つの契機に、都内各所では大型の開発が進められており、東京駅周辺や虎ノ門地区などの幾つかのエリアでは、既に都市の景観が一変し始めてきているが、2020年以降に向けた都市再生において、次世代が求める都市環境をどの様に創造していくかが問われている。

 

グローバルな都市間競争を勝ち抜く

AR028_a 世界的な都市間競争のなか、とくにアジア圏におけるビジネス拠点としては、香港やシンガポールなどが急速に存在感を増しており、市場としての魅力をいかにして取り戻し、大都市東京を成長させていくかが課題となっている。東京都では2009年度より「アジアヘッドクォーター特区」を掲げ、魅力あるビジネス環境の整備による国際競争力の向上に取り組み、外国企業の誘致を推進している。東京五輪に加え、こうした制度面における取り組みの後押しもあり、複数の大規模開発が活発に行われているが、2020年以降も持続可能な成長を実現させるには、さらなる魅力向上が必要である。

 

 

 

 

 

新たな付加価値を求める都市づくりの時代へ

AR028_b 一方、社会を取り巻くビジネス環境では、ICT等の革新技術による第四次産業革命に対応した、いわゆるスマートシティやスーパーシティ構想の具体化が求められている。

 東京は、複数の副都心機能による多核多心型都市を形成することにより巨大な大都市圏を成立させているが、この地域のどこかでは、常に次世代のニーズを取り込んだ再開発が行われており、そのことが東京の新陳代謝を促して最新の都市環境を生み出しているといえる。各エリアは、個々に独自の発展をとげた街のブランドを創りあげることにより、東京の多様性を生み出している。こうした地区の特徴を生かしたまちづくりにより、そこでの活動や生活の質を向上させる魅力ある都市環境が提供されている。この様な新たな付加価値を備えた都市づくりが、東京の持続可能な成長を実現すると考えられる。

 

 

 

 

ソフトインフラと共創型まちづくり

 最近、道路や水道といったハードなインフラストラクチャーに対し、運用や管理など、まちを支える人的・文化的な基盤のことをソフトインフラと表現するが、これからの都市再生において、地区の特徴を生かした再開発を進めるにあたり、そうしたソフトインフラの役割が注目されている。そのなかで、公共空間等の資源を生かし、新たな地域価値の創造を目指すエリアマネジメント活動を、まちの将来を創り出す役割として積極的に位置づけ、再開発プロジェクトの一部として計画上流段階より組み込む動きが活発化している。そこでは、地域の関係者である市民、企業と行政が協働して「新たな公」としての役割を担い、次時代を目指した共創型のまちづくりの実践が試行されている。

 

エリアマネジメントの現在

AR028_c エリアマネジメントとは、民間主体による地域の課題解決・ 魅力増進のための、賑わい創出・安全安心・美化・情報発信・イベント・PRなどによる地域価値を向上させる為の活動であり、全国では、大都市都心再開発地区・周辺市街地・地方都市中心市街地などの多様な領域で展開されている(2015年調査では 全国574団体)。とくに官民連携のまちづくりの主体となる都市再生推進法人には、2018年に50団体が認定されている。また、エリアマネジメントへの制度的な支援として、課題である安定的な活動財源確保のために、「地域再生エリアマネジメント負担金制度」が2018年に公布・施行された。これは海外におけるBID制度※を参考とし、市町村がエリマネ活動の費用を受益者(事業者)から徴収し、エリアマネジメント団体に交付できる官民連携の制度である。現在、実施のためのガイドラインづくりが進められている。

 

 

 

 

 

アバンアソシエイツによる取り組み

AR028_d 2020年にまちびらきを目指す「都市再生ステップアップ・プロジェクト竹芝地区」のエリアマネジメントは、「竹芝地区まちづくり協議会」のもと当社が事務局に参加している「(一社)竹芝エリアマネジメント」(今年都市再生推進法人の指定を受けた)がその運営を担ってきた。2013年度から「地域を知る」「地域と 始める」と続き、「地域と取組む」のフェーズに入り、まちづくりの方針の策定をはじめ、「東京湾岸トーク」「竹芝夏ふぇす」「芝離宮夜会」など、シンポジウムの開催や公共空間を利活用した様々な社会実験の開催などの取り組みを積み重ねてきた。

 鹿島を代表企業とする大田区との官民連携事業である羽田空港跡地第1ゾーン整備事業では、当社はエリアマネジメント準備会の事務局として、まちづくりガイドラインの策定等コンペ提案事項の実践に向けた活動を行っている。

 

 

 

エリアマネジメントの今後の展開について

 国土交通省は上記負担金制度の創設に加え、エリアマネジメントを中心とする民間まちづくり活動への財源確保に向けた枠組みとして、各種の多様な活動ごとの財源を個々の主体が使うのではなく、「地域まちづくり協力金」として整理集約し、さらにそれを一括して調整配分できる「再分配法人」の仕組みを提案しており、都市再生推進法人をはじめとするエリアマネジメント団体が、地域のまちづくりを総合的に担う主体となる道筋を開こうとしている。それは同時に、現在課題とされているスマートシティ技術のまちづくりへの導入における重要な役割を、エリアマネジメントが果たしうることを示唆している。例えば、データを利活用して社会課題の解決をもたらすようなサービスアプリ開発のための実験場(リビングラボ)を担うなど、データ活用の実践プラットフォームとなることが想定されており、負担金制度における活動効果(受益)の評価においても、賑わいの測定などへの収集データの活用が検討されるであろう。この様に、エリアマネジメントはスマートシティの展開にも大きな関係をもち、今後、「スマート(デジタル)エリアマネジメント」という新たな領域へ発展していくことが予想される。

 新たな付加価値を求める都市づくりを地域から担っていく活動として、エリアマネジメントにはますます重要な役割を果たしていくことが期待され、アバンアソシエイツの取り組みもより一層、拡大・深化させなければならないと考えている。

 (江幡 修)

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