1. トップ
  2. 新着情報
  3. アバンフォーラム

アバンフォーラムAVANT Forum

2015.08.07

AVANT report Vol.015

地方創生:人材の還流と地域連携組織の展開が鍵を握る

AR015_a 安倍政権の最重要政策の一つであり、マスコミでも様々な地域の取組が報じられている地方創生。7月のアバンフォーラムではこの政策の中心的な役割を担っておられる山崎史郎地方創生総括官をお迎えし、「人口減少克服・地方創生に向けて」と題してお話を伺いました。皆様が新たなビジネスを考えるきっかけとしていただきたく、その概要をご紹介します。

 

人口減少・地域多様化時代の到来

 戦後日本は2次のベビーブームを経験したが、平成初期の厳しい経済状況のなか団塊ジュニア世代の晩婚化・未婚化が進み、第3次ブームは到来することなく人口減少が決定的となった。2020年代初めは年間60万人、2040年代は年間100万人の減少が見込まれ、東京圏や大都市では今後も高齢者数の増加が続く。こうした「人口オーナス」による地方の衰退や日本の経済成長への悪影響に対処すべく、昨年「まち・ひと・しごと創生法」が施行された。

 

 

国の「長期ビジョン」と「総合戦略」

 国は、人口減少問題の克服(2060年に1億人程度の人口を確保)と成長力の確保(世界水準への生産性向上)を「長期ビジョン」として掲げ、2015~2019年の5ヵ年を対象とする「まち・ひと・しごと総合戦略」を策定した。そこでは「しごと」と「ひと」の好循環作りと、好循環を支える「まち」の活性化に関する目標を定め、縦割りを乗り越えて様々な施策が体系化された。目標達成を期すために、定量的な業績評価指標(KPI)を設定しているのも大きな特徴である。

 

AR015_b

「地方人口ビジョン」と「地方版総合戦略」

 一方、地方(道府県・市町村)は「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、「地方人口ビジョン」と「地方版総合戦略」の策定を求められている。崖っぷちともいえる状況のもと、地方でも政策の縦割りを排除し、幅広い各層の意見を汲み上げるために、産官学金労言の全員参加が期待され、中でも地域金融機関は、資金供給・連携促進の両面からその役割が重視されている。継続性を確保できる縦割りを排除した組織や取組みをいかにして構築するかが鍵である。
 従来から問題意識の高い地域が先導する形で策定作業が進んでいる反面、依然として地域の人口は減少しないと感じている住民が半数以上を占める地域も多い。行政が人口予測等のデータを見える化して、住民の意識改革を促すことも不可欠となっている。

 

「人」に機軸を置いた戦略の展開

AR015_c 「地方版総合戦略」も「しごと」 「ひと」「まち」に関する要素から なるが、全ての基礎にあるのが「人」である。とりわけ、地方の3大戦略 産業である農林水産業、観光、サービス産業のブランディングや新たな展開を進めるための人材が、地方では決定的に不足している。
 高度成長期以降、3度の波となって地方から東京圏への人口移動が 生じた。優秀な人材や元気な人材を東京圏から地方へいかにして還流 するかが鍵となっているのである。このため、若い世代が結婚・子育てしやすい雇用、教育、医療等の確保や、元気な高齢者がアクティブに生活し医療・介護サービスも整った日本版CCRC(Continuing Care Retirement Community、有識者会議にて検討中)を活かしたまちづくり、さらには都市のコンパクト化とネットワーク形成による「密度の経済」を通じた経済基盤や地域社会の強化などが必要とされている。

 

 

国による情報、人材、財政面からの支援

 国は、地方による自主的な取り組みを支援するために、地域経済分析システム(RESAS)を提供するとともに、地方創生コンシェルジュ(各府省庁の相談窓口)や地方創生人材支援制度(国・民間人材の派遣)を用意している。財政支援としては、関係府省連携による新型交付金の導入(来年度)や、地方創生関連補助金等の改革を検討中であるが、「ばらまき」ではなく、やる気のある地域を選択的に支援する方針を明確にしている。なお、「人」に即した課題としては、産官学金労言の連携組織の推進役となる人材の確保も重要であり、交付金の行方が注目される。
地方創生は短期で達成できるものではなく、例えば今年は戦略策定、来年は人材確保、再来年は組織整備といったように、粘り強く取り組んでいかなければならない。

 以上、広範な内容を駆け足でご紹介しました。当社は「まち」づくりを得意分野としていますが、ハードは「人」の活動の器です。地方創生時代にあっては、「しごと」つまり地域産業の活性化や、地域の「ひと」とのつながりをこれまで以上に重視しながら仕事に取り組み、新たなビジネスチャンスを見つけていくことが地方創生にも貢献する道であると感じました。

(伊藤杏里)

 

Totop