1. トップ
  2. 新着情報
  3. アバンレポート

アバンレポートAVANT Report

2019.08.08

地方創生プロジェクトへの新たなアプローチ

 人口減少・少子高齢化が進む環境下において、地方自治体が自立して持続・発展していくためには、地域の抱える課題をその環境や特徴を活かして解決していく施策・プロジェクトが求められている。平成26年11月に制定された「まち・ひと・しごと創生法」から5年、各地では「地方版総合戦略」の方針に基づき、様々な取り組みが模索されている。

 

「まち・ひと・しごと創生法」から5年

AR030_a 平成26年11月に「まち・ひと・しごと創生法」(以下、創生法)が成立し、これに基づき同12月には、人口減少克服と地方創生を目的とした国の5ヵ年戦略である「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(以下、総合戦略)が策定された。多くの地方公共団体においてもこれに沿った地方版総合戦略を策定し、多様な支援メニュー(地方創生版・三本の矢)も受けながら、国と地方が一体となって地方創生に取り組んできた。地方版総合戦略では、総合戦略で挙げられた4つの基本目標(図参照)を勘案しながら、地域の特性や課題に合わせた具体的な施策を計画し、各地で様々な取り組みが行われてきた。とりわけ、公共不動産(PRE)の活用推進とも相まって、市民サービス施設等の分野において、民間の資金とノウハウを活用した官民連携による事業が各地で進められていることは、大きな成果と言えるであろう。

 

 

地方創生は次のステージへ

AR030_b 2019年度は総合戦略の最終年度にあたり、総仕上げと共にこれまでの成果と課題を踏まえた第2期総合戦略策定に向けた検討が進められている。一定の成果が認められるこれまでの地方創生を継続するとともに、今後の地方創生を加速するために新たな視点にも重点を置く方針とされた。ひとつは、地方へのひと・資金の流れを強化すること。これまでは主に都心から地方への移住を推進していたが、これからは地域課題の解決や将来的な移住に向けた裾野を広げるため、関係人口の創出・拡大を目指すこととした。観光や体験のほか世代や属性に合わせた多様な地域参加の機会を提供、とくに個人と企業の取り組みを加速する。もうひとつは、成長戦略でも注目度が高いSociety5.0による新しい時代の流れを力にすること。モビリティやIoTインフラの技術革新が生活の質や産業生産性の向上に寄与し、地理的な地域課題を縮小することも期待される。さらには、地域社会経済構造を俯瞰した地域経営の視点によるまちづくりを意識し、スマートシティやMaas、エリアマネジメント等によるまちなか空間の活性化を目指す。

 

地方創生プロジェクトへの参画

 この様な流れは、先進的な地域では既に取り組みが進んでいる。とくに公的不動産の活用推進や地域 経営の視点によるまちづくりの場面においては民間に期待される役割は大きく、地域の課題解決に向けた官民連携まちづくりなどの地方自治体のニーズに応え、当社では、鹿島グループのもつ多様なソリューションを活かした提案を積極的に行っている。次項ではその一例を紹介する。

 

篠栗北地区産業団地開発事業について-地方創生・官民連携事業の実施事例として-

AR030_c 福岡県篠栗町を事業主とした産業団地の開発・造成・分譲を行うにあたり、当社が鹿島グループの一員として初動期より関わったもので、地方創生・官民連携の一つのモデルケースと言える。町の人口は3.1万、博多駅まで約20分と近く、豊かな自然にも恵まれ、子育て世代を中心に近年人気が高まっている。計画地は市街化調整区域内約17haの元九州大学演習林で、幹線国道等に接した高速インターや空港へのアクセスが良好な立地であり、新規産業と雇用の創出による定住人口の増加を目指している篠栗町は、本開発事業へ大きな期待をもって取り組んでいる。
① 企業ヒアリング(2014年11月~2015年6月)
篠栗町が払い下げのために実施した活用方針の企業ヒアリングに対し、鹿島九州支店は環境本部に環境 エネルギー関係、アバンに開発造成関係の依頼を行ない、篠栗町のニーズを踏まえた活用方策の検討を開始した。
② 公募プロポーザル(2015年7月~2015年12月)
開発全体を包括して協議・調整する事業パートナーを2015年10月に公募、鹿島九州支店、及びアバンアソシエイツ、オオバ、進出候補企業2者からなる事業コンソーシアムを組成して応募、企業誘致先行のオーダーメイド型開発や環境エネルギーシステムなどの提案が評価され、同年12月に事業パートナーとして選定された。
AR030_d③ 事業実施(2016年1月~)
2017年10月 都市計画告示(市街化区域編入、用途地域 指定、地区計画)がなされ、2018年2月 開発許可、2018年4月 造成工事が着工し(公共工事として地元業者に分離発注)、2020年4月に造成工事が完成予定である。
・鹿島グループの体制と役割
鹿島九州支店のプロジェクトメイキングと営業力を生かした企業誘致活動により、オーダーメイド型の産業団地開発と併せ、進出企業の施設整備へも積極的に対応。鹿島環境本部は再生可能エネルギーの利用推進に向けた可能性検討を行い、アバンアソシエイツは開発計画・都市計画・事業推進を担当した。
・官民連携事業/PPPとしての特質
本事業は開発プロセス全体を包括してサポートする民間の事業パートナーを、公募プロポーザルにより選定する方式を採用して鹿島グループを選定、基本協定(包括的契約)を締結した。企業誘致を先行したオーダーメイド型開発としたことに加え、産業団地が完成し施設稼働するまでの開発プロセス全体(企業誘致から造成・施設等計画の策定、 開発許可のための各種手続きの円滑な実施、施工管理など)の実行推進を、行政と協議連携して行う「民間事業パートナー(事業協力者)」に委託するため、行政負担の軽減が期待されることに加え、事業パートナーの構成員がそれぞれの専門性を活かすことにより迅速な事業遂行が可能になったと考えている。

 

地方創生への今後の取り組み

 創生法では、地域創生は大都市から中山間地域に至るまで、それぞれの地域の特性に即した地域の課題解決と活性化に取り組むことが重要とあり、地方公共団体の財政健全化やSDGsへの対応などとあわせ、今後各地で多様な取り組みが加速度的に推進されていくものと思われる。当社および鹿島グループは、それらのニーズに応えるべく、各ソリューションの連携推進に注力している。

 (江幡 修)

Totop